Dr.ひろみの読み物

ハッピー子育てひろば・ハッピー子育てかるた

「Dr.ひろみのハッピー子育てひろば」は、2017年度より3年間、香川県教育委員会と協同で行っていた「非認知スキル向上事業」、2020年度からは「子どものネット依存対策・ネット利用適正化推進事業」、2021年度からは「生活リズムでパワーUP事業」の一環として発行している子育て通信です。

現在は、香川県教育委員会から県の全幼稚園、小学校、中学校に配布されており、おかげさまで多くの先生方や保護者の皆様にお読みいただき、ご好評をいただいております。

これを読んで実践した保護者の方々から、子どもがたくさん話してくれるようになった、自分から進んでお手伝いをしてくれるようになった、いろいろなことにチャレンジするようになった、諦めずに頑張れるようになった、など嬉しい感想をいただいています。ぜひ子育てひろばでお話ししている内容を、少しずつでいいので実践してみてください。きっと明日が変わるはずです。

そして、「もっと深く知りたい!」と思った方は、ぜひ私どもの子育て講座を一度受講してみてください。いつでもお待ちしております。

*2020年4月~2021年3月「Dr.ひろみのハッピー子育てひろば」完全版印刷用は、こちらです。

*2021年4月~2022年3月「Dr.ひろみのハッピー子育てひろば思春期編」完全版印刷用は、こちらです。

*2022年4月~2023年3月「Dr.ひろみのハッピー子育てひろば思春期編その2」完全版印刷用は、こちらです。


【Dr.ひろみのハッピー子育てかるた】

icon_new2024年12月 子育てかるた18号「約束守ると信頼貯金がたまる~」

icon_new2024年11月 子育てかるた17号「よりそうべきだとわかっている~」

icon_new2024年10月 子育てかるた16号「そのままだと大変なことになる~」

icon_new2024年9月 子育てかるた15号「げんき?と聞けば元気と答え~」

icon_new2024年7月 子育てかるた14号「理解だけなら「でも」がでる~」

icon_new2024年6月 子育てかるた13号「見えない未来をこわがって~」

icon_new2024年5月 子育てかるた12号「根が腐るほど水をあげず~」

icon_new2024年4月 子育てかるた11号「子どもに話を聞いてばかり~」

2024年3月  子育てかるた10号「こどもの学びはものまねから~」

2024年2月  子育てかるた9号「愛情表現何してる?」

2024年1月  子育てかるた8号「他のおうちをうらやましがると~」

2023年12月 子育てかるた7号「みんな性格というオセロ盤をもっている~」

2023年11月 子育てかるた6号「ただ聞いてほしいだけ~」

2023年10月 子育てかるた5号「こころのコップ 嫌な気持ちがあふれたら~」

2023年9月 子育てかるた4号「つみきを積み上げ生きている~」

2023年7月 子育てかるた3号「おとなからされて嫌だった~」

2023年6月 子育てかるた2号「生きてるだけで百点満点~」

2023年5月 子育てかるた1号「最後まで話を聞いて否定せず~」

Dr.ひろみの子育てラジオ

Dr.ひろみが、RNC西日本放送ラジオ番組 CHIT CHAT RADIO(チット・チャット・ラジオ)子育てCHAT ROOMに2020年4月より4年間出演させていただきました。

毎月20分ほど、2人のパーソナリティと子育ての情報をラジオでわかりやすくお届けしました。終了後は毎回書き起こしをして48回分になりました。どうぞ、お読みください。

2023年度

3月 最終回【子どもの良きガソリンスタンドになるために】

2月 第47回【こころと身体の性に違和感があるトランスジェンダーについて学ぶ】

1月 第46回【良い親子関係はモノタスクと一期一会を意識することから】

12月 第45回【仮病や怠けと責めないで~中学生の一割がなる「起立性調節障害」】

11月 第44回【現役医学生が語る!勉強以外の活動と将来の目標とは】

10月 第43回【親子で幸せになるために~トリプルP前向き子育てプログラムのススメ】

9月 第42回【CDR:子どもの死亡検証~再発予防の取り組み】

8月 第41回【スクールカウンセラーが伝授する「聞く技術」と親ができること】

7月 第40回【ホストファミリーしませんか?思春期の留学生と家族になる特別体験】

6月 第39回【思春期(中高生)の海外留学は早すぎる?すすめるべき?】

5月 第38回【思春期真っただ中の中学生の本音を聞いてみたら】

4月 第37回【思春期の子どもとの付き合い方~こころのドアを開けてもらおう~】

2022年度

3月 第36回【あなたの子育てにきっと役立つおすすめの本をご紹介します】

2月 第35回【親子で楽しくなる療育~発達障害の子どもたちとABA(行動分析学)】

1月 第34回【小児肥満が増えている⁉振り返ろう、子どもとおとなの生活習慣】

12月 第33回【香川県初!オフラインキャンプの内容と効果】

11月 第32回【ゲーム依存症治療の専門家、海野先生が語るゲーム依存とその対策】

10月 第31回【旅が与える魔法~かわいい子には旅をさせよ】

9月 第30回【子どもは遊びこめていますか~遊びがつくる子どもの体と脳~】

8月 第29回【夏休み後が最多の「子どもの自殺」について考える】

7月 第28回【夫婦で一緒に子育て~新米パパの赤ちゃん相談~】

6月 第27回【知ってもらいたい里親制度~私のプチ里親体験を通して~】

5月 第26回【ゴジラ君、書道の師匠から学ぶ子育ての極意】

4月 第25回【見つけよう!睡眠スイッチ~こころと体を元気にするために~】

2021年度

3月 第24回【防災時の子どものこころを守る】

2月 第23回【子どもたちの多様な学ぶ場、多様な進路について考える】

1月 第22回【子どもとお金~小遣いから学ばせる大事な生活スキル~】

12月 第21回【驚きの海外事情!アメリカ・ブラジル・中国の出産・子育て】

11月 第20回【ゴジラの雄叫び再び:お父さんにも不安や悩みを話す場を!】

10月 第19回【子どもの安全を考える~赤ちゃんから思春期まで~】

9月 第18回【ゴジラが吠える!お父さんの想い~理想と本音~】

8月 第17回【不登校~安心の積み重ねがエネルギーに変わる時、希望が見える~】

7月 第16回【子ども島のゴジラ君の雄叫び(子どもの目を見て話しかけて!)】

6月 第15回【パパも子育て~男の育休で夫婦関係と少子化が改善するかも⁉】

5月 第14回【子育てアドバイスは聞くべきか?押さえておくべきは発達の階段】

4月 第13回【絶対おすすめ!佐々木正美と童話館とラジオドラマ】

2020年度

3月 第12回【おじいちゃん、おばあちゃんの役割とは】

2月 第11回【ママ友付き合いは必要ですか?】

1月 第10回【人類の進化が創る男の脳、女の脳~夫にもっと家事・育児をしてもらうには~】

12月 第9回【子どもの「うざい」が出たら成長のサイン~見直そう親子関係】

11月 第8回【おばあちゃんができること、おばあちゃんを避けること】

10月 第7回【うちの子、忙しすぎ?子どもの習い事や塾について】

9月 第6回【うちの子、発達障害かも⁉その対応と考え方】

8月 第5回【子どもからのメッセージ:きょうだいげんかは親への抗⁉】

7月 第4回【子どもの反抗期にどう対応するか:理解して任せるということ】

6月 第3回【新型コロナウイルスによる休校の子ども達への影響】

5月 第2回【虐待は特別な人の特別なことではない:子どもを傷つけずに育てるために】

4月 第1回【ステイホームだからできること:非認知能力を育てる土台づくり】

教えて!ひろみせんせー!

このコーナーは、高松市PTAだよりで連載している記事を抜粋したものです。

2024年3月 子どもとの時間は一期一会

2023年10月 起立性調節障害について

2023年3月 不登校と子どものこころの波に合わせた居場所

2022年10月 不登校と大人ができること

2022年3月 よい睡眠をとるには

2021年3月 子育て五原則

2020年10月 子どもが求めるもの ③前向きな注目

2020年3月 子どもが求めるもの ②関心

2019年10月 子どもが求めるもの ①愛情

2019年3月 ネット依存~親子関係からアプローチ~

子育てカレンダー

香川大学と三木町の協同事業である「健やかあすなろプロジェクト」で作成した子育てポスターシリーズ12枚を基に作成し直したカレンダーです。1年を通して子育てについて学び、親としてすくすく育つことができるように願って作りました。

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子育てポスターシリーズ

香川大学と三木町の協同事業である「健やかあすなろプロジェクト」では、すべての親に子育てついて学ぶ機会を提供したいと考えています。その一環として作成されたのが、この子育てポスターシリーズ。保護者が体系的に子育ての方法を学ぶことで、子どもの健やかな育ちを促し、体罰のない子育てを目指します!

2ヶ月ごと全12回発行予定です。香川県内の全保育所、幼稚園、こども園に配布されることになっていますが、児童館や図書館、学童、子育て支援センター、コミュニティセンターなどにも配布し、多くの保護者の方に目にしてほしいと思っています。もし、配布にご協力いただけるようでしたら、ご連絡ください。送付いたします。

*子育てポスターシリーズ印刷用完全版は、こちらです。ポスターによって大きさが違うように見えますが、全部A4サイズで印刷されます。


最終回(2023年3月) ~子どもを見守る~

 子育ては、「自動車教習所」に似ているなと思います。教習所の先生は隣に座って、教習所内で運転のルールや技術を教えてくれます。どうすればうまくいくか教え、できるまで繰り返させます。これは子育てでもまったく同じです。先生があなたで、生徒は子どもです。教習所(家庭)でルールを守ることや、自分のことは自分でできるように生活の技術を教え、公道(学校や社会)に送り出します。
 大事なことは親が子どもが運転する車の助手席から降りて、ガソリンスタンドで待つことです。子どもは自分の意志で運転し、道に迷ったり、事故にあったりしながら徐々に運転が上手になります。その途中で疲れたり、元気がなくなったり、困ったらガソリンスタンドに立ち寄って、あなたにエネルギーをチャージしてもらう。そして、元気を取り戻して、また出発します。
 往々にして親は、心配のあまり子どもの助手席からおりず、子どものハンドルを握りしめて、運転する方向を勝手に決めたり、ブレーキやアクセルを踏んでしまいます。また、子どもの車を掃除したり、メンテナンスもしてしまいます。子どもは自分の車なのに自由に動かすことも、面倒見ることもしなくなり、助手席に誰かがいなくては何もできなくなってしまいます。
 さあ、勇気をもって、子どもを信じて助手席から降りましょう。そしてあなたがいるべき場所、ガソリンスタンドで楽しみに待つのです。子どもが立ち寄りたくなるガソリンスタンドになることを一緒に目指しませんか。


第11回(2023年1月) ~子どもの考える力を育てる~

 今回は子どもの考える力を育てることについてです。よく失敗すると親から怒られますが、実は失敗は成長のチャンスです。失敗しないように指示ばかりされていたり、失敗しないように親が先回りして転ばぬ先の杖のようなことをしていると、子どもは自分の頭でどうすればいいかを考えなくなってしまいます。そして、失敗を次に生かそうとする思考が育ちません。
 うまくいかないときこそ、考える力を育てるチャンスです。「○○しなさい」「なんで○○しないの?」「○○すればよかったのに」といったネガティブな言葉かけでは(よく言ってしまいますが)、子どもは安心して失敗することができません。答えのない問題に直面しても、果敢に取り組んでいけるようになるためにも、私たち大人は、子どもに「どうしたらいいと思う?」「次はどんなやり方でやってみる?」「あなたはどうしたい?どうなったらいいと思う?」など、前向きな質問をすることで、子どもが自分で考えることを促し、やってみることを励ましていきたいものです。子どもの成長をじっと待つことの大切さをポスターにこめました。


第10回(2022年8月) ~子どもの気持ち~

 子どもだった頃のことを大人はすっかり忘れてしまい、大人目線で子どもを見て、判断してしまうことはよくありますよね。忙しいのにいたずらされて、イライラ。余裕がないときに子どもにわめかれて、またイライラ。疲れているのに、だっこだっこと駄々こねられて、もっとイライラ。眉間にしわが寄って、つい「なんで、困らせるの!」って口調がきつくなってしまうこと。ありますよね。でも、困らせたいわけじゃない。怒らせたいわけじゃない。あなたが大好きで、こっちを見てほしい、聞いてほしい、だっこしてほしい。ただそれだけなんです。どうしたらうまく気持ちが伝えられるのかわからないんです。。。


第9回(2022年6月) ~子どもに教える~

子どもが生活し、自立するためには、様々な技術を習得しなければなりません。最初はあいさつをすることや食事、着替え、片付け、歯磨きや入浴などの衛生習慣に始まり、話すことや聞くことなどのコミュニケーション方法、字の読み書きや計算などの学習など、山のようにありますね。私たち大人は何でも簡単にできてしまいますが、子どもにとっては何でも初めてで難しいことはかりです。指先も思ったように動かないし、言われたことをすぐ忘れてしまいますし、まわりの物事がおもしろすぎて大人が教えようとすることに集中できないことも多々あります。
 

それなのに大人は「なんでできないの」と簡単に言ってしまいます。その言葉に子どもはとても傷ついているものです。怒ってもできるようにはなりません。不機嫌になられたり、イライラされると逆に委縮して失敗してしまいます。大人が一つずつ、くりかえし、くりかえし、やさしい声で教えてください。子どもは階段を一段一段、ゆっくりゆっくり登っていきます。時に立ち止まり、時に後ろに戻りつつ。それでも、自分の力で登ろうとするし、実際登れるのです。でも、大人が期待するほど上手にはできないかもしれません。大人に必要なのは、子どもができるまで見守る忍耐力なのでしょう。


第8回(2022年4月) ~子どもをほめる~

子どもをほめる、認めるという事は、子育てにおいて非常に大事です。私たち大人はよくダメ出しをし、ダメなところを直させることが教育だと思いますが、それでは子どもの心は育ちません。人はほめられたり、何かを達成したり、喜びを感じた時に、脳内にドーパミンという神経伝達物質が大量に放出されます。それはまるで、脳内に「いいね!スタンプ」が押されるような感じです。それがとても気持ちのいいものなので、人間はそれを求めて何度も同じ行動を取ろうとします。

その時に、「具体的に何がよかったか」を伝えることが大事です。ただ「いいね、すごいね、えらいね」と言われても、子どもは何がよかったのか、すごかったのかが全く分かりません。それでは、ドーパミンがほとんど出ず、よい行動を繰り返させることができませんし、やる気も育ちません。
 褒める時のコツは3つあります。
1.具体的に伝えること
2.経過に注目して伝えること(期待値に達していなくても、その手前で何度も声をかけて励ます)
3.ありがとう、助かったよという感謝を伝えること(感謝もほめ言葉、認める言葉です)
 
 よくほめることがないと嘆くお母さんがいますが、ほめることがないのではなく、見えていない、見ていないだなのです。できないこと、ダメなとこは目に付くので、すぐ言葉にして指摘(間違い指摘反射)してしまいます。いいところは当たり前だと思っていたり、静かにしている(うまくいっている)ので気が付かないのです。それを「見る、気が付く、言葉にする」ことで、ドーパミンを出し、親子関係もいいものにし、子どものやる気を育てることができます。


第7回(2022年1月) ~一貫したしつけでルールを教える~

子どもの自制心を育てるためには、親が一貫した態度と言葉でルールを教え、守らせ、できたことをほめるといった一連の適切なしつけが大切です。健康な生活を送るためにはリミットを知り、その範囲の中で調整しながら、計画実行していく必要があります。それを小さいころにルールをつくり、守ることで練習していきます。

これができていないと、大きくなった時に様々な誘惑に負けてしまい、計画したように物事を進めることができなくなってしまいます。親の言う事も何一つ聞かなくなってしまいます。もちろん、子どもはやりたいことをやり、やりたくないことはやらず、
後回しにしたいものです。ですから、親に絶えずチャレンジするわけです。
 泣いたり、わめいたり、聞こえないふりをしてみたりして、なんとか思い通りにならないか試すわけです。それが通ってしまうと、成功体験になり、間違った行動を繰り返し、親は怒ったり、なだめすかしたりと大変なことになります。
  簡単なのは一貫することです。親の機嫌によって変わらず、両親の間で変わらず、自分の行動でも変わらず、ルールが必ず実行されるとなると子どもは「これは本当に守らないといけないのだ」と納得してルールを守ることができます。


第6回(2021年8月) ~子どもの好奇心と積極性を育てる~

 こころの発達段階の1番目は、子どもに「安心感と信頼感」を育てることでした。前回のポスターで2番目の発達段階である「自分の気持ちや意思を伝える」ことについて扱いました。そして、今回は3番目の段階である「好奇心と積極性を育てる」ことについて描いてみました。

 こころの発達がここまで来ると、家庭の外に興味の対象が広がり、好奇心が芽生えます。何かを見たり、聞いたりしたときに「おもしろそう!」「楽しそう!」「やってみたい!」と自ら興味を持ち、知りたい、やってみたいと物事に積極的に取り組んでみたいという意欲が生まれます。

 その時の大人の対応が、子どものその後の発達に大きく関わってきます。それが大人にとって、くだらないことだったり、時間の無駄と思えることだったり、やるべきことを優先すべきだと思うこともあるでしょう。それでも、子どもの好奇心を無下にせず、大事に育ててやりたいものです。

「やってごらん!できるまで待ってるよ」という大人が子どもの気持ちを尊重し、関心をもって寄り添い、子どものペースでできるまで待つことができる姿勢が貴重です。それが、子どもの心を豊かにし、積極的に自分の人生に取り組んでいく礎になります。なぜなら、「たくさんの出会いと体験が、ときめき、ひらめき、やるきを育てる」からなのです。


第5回(2021年6月) ~子どもの意思を育てる~

 親子の安心感や信頼感ができて、居場所ができたら、子どもは安心して自分の気持ちや意思を伝えられるようになります。それが第2段階のこころの発達です。

私たちは、それを「イヤイヤ期」とか「反抗期」(思春期)と呼んでいますが、そんなネガティブな呼び方をする必要はありません。心が正常に発達していればこそ、意思が生まれ、伝えることができるようになります。でも、きちんと気持ちを聞いてあげられなかったり、親の意見を良かれと思って押し付けたり、子どもの気持ちを無視することが続くと、子どもは意思をもつことを諦めてしまいます。すると、次への階段が上がれません。

子どもの気持ちや意思が親の理想でなかったとしても、親としては正しくない事だったとしても、聞いてあげてほしいと思います。「自分がどうしたいか」を考えること。それが自分をもつこと、自立して生きていくことにつながるのですから。


第4回(2021年4月) ~子どもの居場所をつくる~

 居場所ってなんでしょうか。

 子どもが学校にも家にも居場所がないと、ネットの世界に自分の居場所を見つけて息ができるようになります。生きづらくて、わかってもらえなくて、誰にも認めてもらえなくて、自分が自分を大嫌いで、未来が不安で、苦しくて。そんな思春期を過ごす子どもはたくさんいるのではないでしょうか。

 1割程度だったうつ状態の小学生が、中学生になると2割になります。このコロナ禍で調査したら4割の学校もありました。家には自分の部屋があるけど、そこにこもれば誰からも邪魔されないのに、居場所だと感じない。居場所って物理的な場所じゃなくて、安心感という概念かもしれません。

最初、男女の中学生がくらーくスマホを凝視しているイラストと、斜め上を向いている、少し微笑んだイラストの二つが入ったポスターを作りました。そして、ここにある言葉。生きてていいんだ。なんか、自殺予防のポスターみたい、ネット依存予防のポスターみたいっていう感想が多数。それで、もう1回描きなおしました。

 伝えたかったんです。居場所をつくってほしい。そうしたら、ネットだけが居場所になることはないし、思春期をずっと鬱々して過ごすこともないよって。私の子育ての反省をこめて伝えたかったことは、子どもに必要なのは居場所だということ。

この大きな木、「この木、なんの木、気になる木」のモンキーポッド。日本名は「アメリカネムノキ」。花言葉は「安らぎ」です。子どもの心に「ネムノキ」を。


第3回(2021年2月) ~親じゃない自分も大切にする~

 子育てでイライラして、子どもを必要以上に叱りつけてしまった、八つ当たりをしてしまったということは誰でもあると思います。子育ても仕事も家事も炊事も、ぜんぶ一人で抱え込んで忙しく、何事も一生懸命で生活に余裕がないなんてこと、ありませんか?イライラしてしまう原因の一つは、自分自身の「こうあるべき」という考え方かもしれません。

お母さんはダラダラ寝てたらいけない。
自分のことより子どもを優先しなくちゃいけない。
自分の気持ちを抑えても姑小姑とうまくやらなきゃいけない。
自分の未来を考えるより子どもの未来に投資しなくちゃいけない。
自分さえ我慢すれば。自分のことなんて考えちゃいけない。

あなたを苦しめているのは、実はあなた自身かもしれません。もっと自分を大切にしていいんです。

自分の気持ち。自分の時間。自分の楽しみ。自分の未来。自分の「こうあるべき」から少しだけ解放し、自分を大切にしてみましょう。そうすると、子どもや夫、周りの人へのイライラやモヤモヤが消えて、余裕ができ、笑顔が生まれるのです。

あなたが笑顔でいられることは、あなた自身のためでもあるけど、家族のためでもあるのです。自分を大切にしましょう。


第2回(2020年12月) ~子どもの信頼感を育てる~

 子どもが親に求めることの一つに自分への関心があります。「見てほしい、聞いてほしい、わかってほしい、困ったときは手を差し伸べてほしい」という気持ちです。親はもちろん、子どもに関心があります。でもそれは「親目線の関心」ではないでしょうか?例えば、子どもが勉強についていけているか、希望校に合格できるか、習い事で成果を出しているか、ゲームをしすぎていないか、同級生にいじめられていないか、人に迷惑をかけていないか、などなどです。

ここでいう関心は、「子ども目線の関心」です。子どもが望む、親からの注目や理解やサポートです。するべきことは簡単です。「1日1分でいいから目を見て話を聞くこと」です。

私たちは忙しいので、つい「後にして」と言ったり、スマホに気を取られて子どもの話に生返事したり、注目を十分与えず、冷たい態度を(そのつもりはなくても)とってしまうことがあります。そうすると、子どもは話すことを諦め、困ったことがあっても話すことができなくなります。

目を見て話すと、言葉以外の表情やしぐさから子どもの心が見えてきます。本当の気持ちや本当の願い。本当はそう思っていなくても、親が望んだことを口にしてしまうことはよくあります。心配をかけたくなくて、本当のことは言えないこともたくさんあります。でも親から本当の気持ちをわかってもらえたとき、その喜びが人を信じる心を育てるのです。

そして、困ったときに突き放されることなく、信じるあなたがそばで一緒に考えてくれると、子どもはとても心強く、あったかい気持ちになるのです。あなたの温かい態度を見本にして、「自分がしてもらった嬉しいことを誰かにしてあげたい」と思うようになり、よりよい人間関係を築いていく礎になります。それが大きな財産となるのです。


第1回(2020年10月) ~子どもの自信とやる気を育てる~

 子どもが生まれたときは、床にたくさんのつみ木がばらまかれている状態です。子どもと目が合ったとき、笑ったとき、首が座ったとき、立ち上がったとき。一つ一つの発達はつみ木を上に重ねていく作業と同じです。人は誰でもつみ木を一つずつ積み重ねていきています

しかし、私たちはそんなつみ木を認めるよりは、まだ積みあがっていないつみ木、隣にある高く積みあがったつみ木が気になって仕方ありません。「うちの子だけ、できてない」と他の子どもと比べたり、ダメなところはよく目についてしまいますから、つい責めてしまいますね。

目の前の、あなたの子どもの「つみ木」だけをみませんか。それだけを見ると決めると、案外気持ちが楽になります。そして、「よくがんばったね」と伝えましょう。子どもは自分のつみ木が好きになります。それが「自信」です。すると、子どもは安心して、もう一つつみ木を積み上げてみようと思います。それが「やる気」です。

そのつみ木を見守り応援しましょう。子どもに伝えつづけましょう。「あなたはがんばっている。あなたのつみ木が大好きだよ」と。思春期になったら、悩みも苦しみもたくさんあるのに、一人で抱えてしまいます。自分のつみ木が好きな子は、「大丈夫。今までも頑張って進んできた。だからこれからも進んでいける」と迷い悩む自分の背中を押せるのです。だから今、繰り返し伝えていきましょう。

よくがんばっているね。あなたのつみ木が大好きだよ」と。

非認知能力

icon_new2024年 こどもと一緒に伸ばそう!大人の非認知能力
学研教室 教育情報新聞「みどりのなかま」2024年11月号(474号)に掲載されました。非認知能力を子どもにばかり押し付けないで、大人も一緒に伸ばしていこうとする過程で、大人自身がどう生きるかを考え直すいい機会になると思います。

2022年 ―「ちょっと困った」から「発達障害かな?」までー トリプルP~前向き子育て17の技術~ 改訂第2版の「第IV部 非認知能力向上・ネット依存症予防」でトリプルPがどのように非認知能力向上に寄与しているのかを書きました。

2022年 The Association of Grit and Self-Control with Parent-Child Relationships, Mental Health, and Lifestyles of Japanese Adolescents: A Cross Sectional Online Survey
日本の中学生におけるやり抜く力と自制心は、親子関係やメンタルヘルス、生活習慣と相関関係があることを示した論文です。やり抜く力や自制心などの非認知能力が高い生徒は、親子関係や精神状態がよく、学校と家でよい生活習慣を獲得していました。

2021年 非認知スキル向上プログラム
香川県教育委員会と作成しました。子どもの意欲や積極性、やり抜く力、自制心などの「生きる力」を育てる方法について書いています。

2021年「幼児教育じほう4月号」「育てよう、非認知能力~これからの社会を生き抜くために必須な資質」
予測困難な未来を生きる子どもたちに育てたい能力や、その育て方について書いています。100年時代の私たちの生き方も考えてみませんか。

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