発達が気になる子

発達が気になるお子さんを育てるご家族へ

お子さんの発達に関する悩みや不安を抱えることは、とても大変なことだと思います。親子の絆を感じることが難しいと感じたり、どう育てて良いか分からず投げ出したくなることもあるでしょう。だからこそ、たくさんの人の支援や協力を得ながら、子育てしていくことが大切です。そうすることで、お子さんが持って生まれた可能性を伸ばし、喜びの多い人生を送ることができる人へと成長するでしょう。

まず、医療とつながることが大事です。年齢が小さいほど、成長すれば何とかなるのではないかと考える人もいます。確かに杞憂だったという場合もありますが、そうでなかった場合のリスクは高いと言わざるを得ません。早期療育は、発達が気になるお子さんに科学的に効果があると証明されている、非常に重要なものです。早期療育を受けることで発達が促され、園や学校の生活がしやすくなり、自己肯定感が高まります。成長と共に療育が必要なくなるケースも見てきました。発達障害という診断を受けなくても、発達障害の疑いという名目で療育を受けられる場合もあります。まずは、発達が気になったら医療機関を受診されることをお勧めします。
(→詳しくは「発達障害の早期発見と療育の重要性」へ)
(→詳しくは「お子さんの発達を相談できる医療機関」へ)

何より大事なのは、お子さんの強みや興味を見つけて、それを伸ばすことです。一緒に生活している家族だからこそできる日々のちょっとしたサポートや励ましが、やがて大きな成長につながります。

また、様々な療育方法や支援が存在します。応用行動分析(ABA)、TEACCHプログラム、PECS、作業療法、言語療法など、お子さんに合った方法を見つけることで、スキルを身につけることが可能です。専門家と相談しながら、お子さんに最適なアプローチを試してみてください。
(→詳しくは「効果があると科学的に証明されている早期療育法」へ)

ご家族の皆さま自身も、サポートを受けることを大切にしてください。ペアレンツトレーニングやコミュニティのサポートを活用することで、家庭内でのストレスを軽減し、より良い環境を整えることができます。
(→詳しくは「ペアレンツトレーニングとは」へ)

何より、お子さんに対する愛情と理解が一番の力になります。どんなに小さな一歩でも、一緒に喜び、励まし合いながら前進していくことが、お子さんの成長に繋がります。

お子さんと共に人生を楽しむ未来を築くために、目の前の一つ一つの課題に前向きに取り組んでいきましょう。私たちも、みなさんのお力になれるよう、活動して参ります。

発達障害について

発達障害とは、脳の働きに違いがあるために、コミュニケーション、行動、学習などに困難を感じる状態のことを指します。これらは、生まれつきの特性であり、周囲の理解や適切な支援があれば、その人の能力を最大限に引き出すことができます。

発達障害の主なタイプ

発達障害には主に3つのタイプに分類されます。

  • 自閉スペクトラム症(ASD)
    自閉スペクトラム症(ASD)は、発達障害の一つで、コミュニケーションや社会的なスキル、想像力に課題があるため、人間関係を築くのが難しいことがあります。また、特定の事柄に対して非常に強い関心やこだわりを持ち、それを何度も繰り返す傾向があります。言語の発達や知的発達に遅れが見られるお子さんもいますし、言語能力が高く学習に問題がないお子さんもいます。また、感覚過敏や感覚鈍麻といった感覚の違いが見られることもあります。

  • 注意欠如・多動症(ADHD)
    ADHD(注意欠如・多動性障害)は、集中力が続かない、不注意、多動性、衝動的な行動が見られる発達障害の一つです。ADHDは、人によって現れる症状が異なり、主に3つのタイプに分けられます。

    不注意優勢型】
    このタイプでは、特に注意力が続かないという特徴が強く現れます。集中力が続かない、物事を忘れやすい、細かい作業をミスしたりすることが多い、計画を立てるのが苦手などの特徴があります。

    多動・衝動優勢型
    落ち着いて座っているのが難しく、いつも動き回っていたり、すぐに行動してしまうという特徴があります。授業中に静かにしているのが苦手だったり、思い付きで行動してしまうことがよくあります。

    混合型】
    このタイプは、不注意と多動・衝動の両方の特徴が見られます。集中が続かないうえに、じっとしていられないといった複数の症状を持っています。注意を持続することが難しい、衝動的な行動を抑えられない、多動性が見られることが特徴です。これにより、学校や家庭での生活に支障をきたすことがあります。

  • 学習障害(LD)
    学習障害(LD)は、読み書きや計算など、特定の学習スキルに困難を感じる状態です。LDの人たちは、知的には問題がないにもかかわらず、特定の学習分野で大きな苦労をすることがあります。そのため、学校や仕事の場面で困難を経験することがあります。

  • その他の発達障害に分類されるもの

    ・発達性協調運動障害(DCD)
    発達性協調運動障害は、運動や動作が不器用で、日常生活に支障をきたす障害です。たとえば、箸を使う、字を書く、スポーツをする際に動作がぎこちなくなることがあります。

    ・チック症
    チック症は、運動チックや音声チックが短期間だけ現れる障害です。多くの場合、子どもに一時的に見られることが多いですが、まれにトゥレット症候群へ進行することもあります。

    ・トゥレット症候
    トゥレット症候群は、1年以上にわたって運動チックや音声チックが続く障害です。運動チックには、まばたきや顔のけいれんが含まれ、音声チックには咳払いや叫び声などが見られます。これらのチックは無意識に起こり、日常生活に支障をきたすことがあります。

発達障害の早期発見と療育の重要性

早期療育は、発達が気になるお子さんにとって非常に重要な役割を果たします。以下にその理由を説明します。

  • 発達の基盤をつくる
    幼少期は脳が急速に発達する時期です。この大切な時期に適切な療育を受けることで、発達の基盤をしっかりと築くことができます。特に0歳から6歳までの期間は、神経回路が活発に形成されるため、この時期に療育を行うことが非常に効果的です。
  • 二次障害の予防
    発達障害がある子どもたちは、適切な支援がない場合、情緒不安や不適応行動などの二次障害が生じる可能性があります。早期に療育を受けることで、これらの二次障害を予防し、子どもたちが健全に成長する手助けとなります。
  • 自己肯定感の向上
    療育を通じて、子どもたちは自分の特性を理解し、新しいことに挑戦しながら成長します。これにより、自己肯定感が育まれ、自信を持って生活できるようになります。
  • 家族へのサポート
    早期療育は、子どもだけでなく、家族全体の支援にもつながります。保護者が子どもの特性を理解し、適切な対応方法を学ぶことで、家庭内のストレスが軽減され、より良い親子関係を築くことができます。

早期療育は、子どもたちの発達を最大限に引き出すために欠かせない取り組みです。適切な支援を受けることで、子どもたちが明るい未来を築くための大きな助けとなります。

早期療育には、子どもの特性やニーズに応じたさまざまな方法があり、以下にいくつかの具体的な療育方法を紹介します。

効果があると科学的に証明されている早期療育法

現在、発達が気になるお子さんに効果があると科学的に証明されている療法を以下に説明します。

  • 応用行動分析(ABA
    応用行動分析(ABA)は、行動の前後を分析して、問題行動を改善する方法です。ABAでは、良い行動を強化し、不適切な行動を減らすための具体的な手法が使われます。たとえば、子どもが良い行動をしたときに褒めることで、その行動を増やすことができます。
  • TEACCHプログラム
    TEACCH(Treatment and Education of Autistic and related Communication-handicapped Children)プログラムは、自閉症やコミュニケーション障害のある子どもに対する支援プログラムです。環境を構造化し、視覚的な手がかりを提供することで、子どもが理解しやすくします。
  • PECS(絵カード交換式コミュニケーションシステム
    PECS(Picture Exchange Communication System)は、絵カードを使ってコミュニケーションを行うシステムです。子どもが絵カードを使って、自分の欲しいものや気持ちを伝えることで、コミュニケーション能力を向上させます。特に言葉でのコミュニケーションが難しい子どもに効果的です。
  • 作業療法
    作業療法は、日常生活に必要な動作や活動を通じて、身体機能や精神機能の回復を図る療法です。例えば、手先の器用さを高める活動や、日常生活の動作を練習することで、子どもが自立した生活を送れるように支援します。
  • 言語療法
    言語療法は、言語やコミュニケーションに困難を抱える子どもに対して行われる療法です。言語聴覚士が、発音や語彙の拡充、コミュニケーション能力の向上を支援します。発音練習や言葉の理解を助ける活動が含まれます。

保護者へのサポートとNPO法人の役割

NPO法人「親の育ちサポートかがわ」は、発達障害に関する正しい知識と支援方法を保護者に提供することで、家庭環境を豊かにし、児童虐待を予防することを目指しています。発達障害を持つ子どもへの理解とサポートを深めるため、以下のような活動を通じて保護者を支援します。

  • 情報発信:発達障害に関する基礎知識や最新の研究情報を提供し、保護者が正しい判断をできるようサポートします。
  • ペアレンツトレーニング: 保護者が気軽に参加できるペアレンツトレーニングを通じて、実践的なスキルや知識を学ぶ機会を提供します。
  • 前向き子育てプログラム(トリプルP): 発達が気になるお子さん対しても応用できる、前向きな子育ての手法を学ぶプログラムを提供します。

NPO法人「親の育ちサポートかがわ」は、こうした支援活動を通じて、発達が気になるお子さんがより良い未来を築けるよう、ご家族の皆さんと共に歩んでいきます。

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